
日産が世界に誇るピュアスポーツカー、フェアレディZ。フルモデルチェンジを経て登場した新型(RZ34)は、歴代モデルへのオマージュを感じさせるデザインと、405馬力を叩き出すVR30DDTTエンジンの搭載で、多くのファンを熱狂させました。さらに、そのパフォーマンスを極限まで高めた「NISMO」もラインナップに加わり、選択の悩みは深まるばかりです。「標準モデルとNISMO、具体的に何が違うのか?」「価格差に見合う価値はあるのか?」そんな疑問を持つあなたへ。
本記事では、新型フェアレディZの魅力を深掘りしつつ、グレード間の詳細比較を行い、あなたにとって「最高のZ」を選ぶための判断材料を提供します。
この記事のポイント
- 新型フェアレディZとNISMOのスペック・デザインの決定的な違い
- 標準モデルとNISMOの価格比較と装備の差
- Version ST、S、ベースグレードなどの選択基準
- MT派とAT派、それぞれの楽しみ方と最新トランスミッションの評価
新型フェアレディZの進化と魅力:伝統と革新の融合

新型フェアレディZは、単なるモデルチェンジではありません。それは、50年以上にわたる「Z」の歴史と、日産の最新技術が融合した結晶です。S30型のシルエットを彷彿とさせるロングノーズ・ショートデッキのプロポーション、Z32型を現代的に解釈したテールランプなど、見る者の心を揺さぶるデザインが特徴です。しかし、真価はその中身にあります。ここでは、新型Zが持つ基礎体力の高さについて解説します。
心臓部「VR30DDTT」エンジンの実力
- 圧倒的なパワー: 3.0L V6ツインターボエンジンは、最高出力298kW(405PS)、最大トルク475N・mを発揮。
- レスポンス: 小径タービンとターボ回転数センサーの採用により、踏み込んだ瞬間から鋭く加速するレスポンスを実現。
- サウンド: アクティブ・サウンド・コントロール(一部グレード)により、ドライバーを高揚させる力強いエンジンサウンドを演出。
新型フェアレディZの最大のトピックは、スカイライン400Rにも搭載されている「VR30DDTT」エンジンの採用です。先代の自然吸気エンジンからツインターボ化されたことで、低回転域から湧き上がるようなトルクと、トップエンドまで突き抜けるようなパワーを手に入れました。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間、背中をシートに押し付けられるような加速感は、まさにピュアスポーツカーの証です。また、このハイパワーを受け止めるボディ剛性の強化や、サスペンションの最適化も図られており、「意のままに操る喜び」が飛躍的に向上しています。
徹底比較:標準モデル vs NISMO「速さ」の質はどう違う?

「標準モデルでも405馬力もあるのに、NISMOは何が違うのか?」これは多くの人が抱く疑問でしょう。結論から言えば、標準モデルが「グランドツーリングもこなせるスポーツカー」であるのに対し、NISMOは「サーキット走行を見据えたファクトリーチューンドマシン」です。エンジンの出力向上だけでなく、空力、足回り、ボディ剛性、そしてシフトレスポンスに至るまで、すべてが別次元に引き上げられています。
NISMO専用チューニングの凄み

- パワーアップ: 気筒別点火時期制御の最適化などにより、最高出力は309kW(420PS)、最大トルクは520N・mへと向上。
- 空力性能: 「Gノーズ」を思わせる専用フロントバンパーやリアスポイラーにより、ダウンフォースを強化しつつ空気抵抗を低減。
- 専用剛性強化: フロアトンネルステイの追加やサスペンションの専用チューニングにより、ステアリングの正確性とトラクション性能が向上。
NISMOのデザインは、単なるドレスアップではありません。フロントグリルは冷却性能を優先した専用メッシュに変更され、延長されたノーズとカナード形状が強力なダウンフォースを生み出します。これにより、高速コーナーでの安定性が劇的に高まっています。また、タイヤも標準モデルより幅広の専用ダンロップタイヤ(SP SPORT MAXX GT600)を装着し、強大なパワーを確実に路面へ伝えます。インテリアにおいても、RECARO製専用シートや、赤いセンターマークが入ったアルカンターラステアリングなど、ドライバーを「その気」にさせる装備が満載です。
新型フェアレディZ グレード別スペック比較
NISMOと標準モデル(Version STなど)の違い| 比較項目 | 標準モデル (Version STなど) | NISMO |
|---|---|---|
| エンジン | VR30DDTT | VR30DDTT (NISMO専用チューニング) |
| 最高出力 | 405PS / 6400rpm | 420PS / 6400rpm+15PS |
| 最大トルク | 475N・m / 1600-5600rpm | 520N・m / 2000-5200rpm+45N・m |
| トランスミッション | 6MT / 9M-ATx | 9M-ATx (専用変速チューニング) |
| タイヤ | ブリヂストン POTENZA S007 | ダンロップ SP SPORT MAXX GT600 |
| ブレーキ | 4輪アルミキャリパー対向ピストン | 専用ブレーキシステム(ローター大径化等) |
| 全長 | 4380mm | 4410mm+30mm |
| 車両重量 | 1570kg~1620kg | 1680kg |
※数値は参考資料に基づく比較
グレード別価格と装備の検証:あなたに合うZはどれ?

新型フェアレディZのラインナップは、ベースグレードからNISMOまで幅広く、価格差も大きくなっています。予算と求めるスペックのバランスを見極めることが重要です。ここでは、主要グレードの特徴と価格設定(※価格は最新の公式情報を参照推奨)を比較し、それぞれのグレードがどのようなユーザーに向いているのかを解説します。
各グレードの特徴と選び方
- Base Grade: 最も純粋にZの走りを楽しめるエントリーモデル。カスタマイズのベース車両としても最適。
- Version S: 6MT専用グレード。機械式LSDや対向ピストンブレーキを装備し、スポーツ走行を楽しみたいMT派向け。
- Version T: 9M-ATx専用グレード。豪華な内装やBOSEサウンドシステムを備え、ラグジュアリーなツーリングを楽しみたい方向け。
- Version ST: 走りの装備(S)と快適装備(T)を両立した最上級グレード。迷ったらこれを選べば間違いなし。
- NISMO: 妥協なきパフォーマンスを求めるドライバーのための頂点。
価格を重視しつつ、後から自分好みにカスタムしたい方はベースグレードが魅力的です。しかし、リセールバリューや標準装備の充実度を考えると、Version STの人気が圧倒的です。本革・スエード調ファブリックコンビシートや、最新の安全装備が標準で付いてくるため、満足度は非常に高いでしょう。一方で、NISMOはVersion STからさらに約280万円ほどの価格アップとなります。この価格差は、後からショップで同等のチューニング(エンジン、空力、ボディ補強、内装張替え)を行おうとすれば、とても300万円では収まらない内容です。つまり、メーカー保証付きのコンプリートカーとして考えれば、NISMOのコストパフォーマンスは実は非常に高いと言えます。
価格目安比較チャート
グレードごとの価格差と位置づけ※価格は目安です。オプション等により変動します。
グレード別 特徴&おすすめユーザー
あなたに合う1台を見つける比較表| グレード名 | ミッション | 価格目安(税込) | おすすめユーザー |
|---|---|---|---|
| Base | 6MT / 9M-ATx | 約540万円〜 | カスタム派、シンプルに走りたい人 |
| Version S | 6MT | 約620万円〜 | 走りを重視するMT派 |
| Version T | 9M-ATx | 約580万円〜 | 快適なドライブ重視のAT派 |
| Version ST | 6MT / 9M-ATx | 約660万円〜 | 豪華装備・全部入りの満足感 |
| NISMO | 9M-ATx | 約920万円〜 | 究極の速さと特別感を求める人 |
※価格は変動する可能性があります。必ず最新の公式情報をご確認ください。
MTか9M-ATxか?トランスミッションの選び方

スポーツカー選びで最も悩ましいのが、トランスミッションの選択です。新型Zでは、6速マニュアル(6MT)と9速オートマチック(9M-ATx)が用意されています(NISMOはATのみ)。かつては「スポーツカー=MT」という図式がありましたが、最新のZではその常識が覆されつつあります。
進化した2つのトランスミッション
- 6MTの魅力: 大トルクに対応した強化クラッチディスクとギヤトレインを採用。吸い込まれるようなシフトフィールと、ヒール&トゥを不要にする「シンクロレブコントロール」で、操る歓びを直感的に味わえます。
- 9M-ATxの魅力: ジャトコ製の9速ATは、変速スピードが劇的に向上。特にNISMOのATは、変速レスポンスが標準モデル比で最大50%短縮されており、プロドライバーのシフト操作よりも速いダウンシフトを実現しています。
- NISMOがATのみの理由: 420PS/520N・mという強大なパワーを、ロスなく路面に伝え、最速のタイムを叩き出すためには、人間による操作よりも最新のAT制御の方が有利だと判断されたためです。
もしあなたが「自分でギアを選び、クルマと対話すること」に最大の価値を置くなら、迷わず6MT(Version SまたはST)を選ぶべきです。3ペダルのスポーツカーは、今後ますます希少な存在になります。一方で、「速さ」や「日常の快適性」も重視するなら、9M-ATxは素晴らしい選択肢です。特にスポーツモード時の変速制御は秀逸で、サーキットでもDレンジのままで意図した通りのギアを選択してくれます。NISMOに至っては、「ATだから」と敬遠するのは食わず嫌いと言えるほどの完成度を誇ります。
まとめ

新型フェアレディZは、グレードごとに明確なキャラクターを持っています。価格やスペックだけでなく、「Zとどう過ごしたいか」というライフスタイルに合わせて選ぶことが、後悔しないための鍵となります。
- コストパフォーマンスと走りのバランスを重視するなら:Version ST (6MT) がベストバイ。リセールも期待でき、装備も充実しています。
- 究極のパフォーマンスと特別感を所有したいなら:NISMO 一択です。価格差以上のエンジニアリングが詰め込まれています。
- 自分だけの一台を作り上げたいなら:Base Grade を購入し、浮いた予算でカスタムを楽しむのも粋な選択です。
どのZを選んだとしても、VR30DDTTエンジンの咆哮と、美しいボディラインがもたらす所有感は、あなたのカーライフを劇的に彩ってくれるはずです。まずはディーラーで最新の納期情報を確認し、憧れのZへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。