
ゲレンデの愛称で親しまれるメルセデス・ベンツGクラスは、武骨なスタイルと独特の存在感で高い人気を誇ります。その一方で購入を検討する段階で気になるのが、ゲレンデの維持費とリセールバリューではないでしょうか。「輸入車の中でも維持費が高そう」というイメージがある一方で、「リセールが良いから実質的な負担は小さい」という声も耳にします。
この記事では、現行Gクラスのグレード別に、自動車税・自動車重量税・自賠責保険・燃料代(電気代)といったゲレンデの維持費の内訳を、公的な税額表やメーカー公表値をもとに整理します。断定できない金額は「目安」として幅を持たせつつ、中古車市場で語られるリセールバリューの傾向や注意点もあわせて解説します。サイズや取り回しについては別記事「ベンツGクラス(ゲレンデ)のサイズ・車幅は?寸法と駐車場の注意点」で詳しく扱っているため、本記事では維持費とリセールに絞って解説します。
この記事のポイント
- G450d・G580 with EQ Technology・AMG G63の車両価格とパワートレインの違い
- 自動車税・重量税・自賠責保険など法定費用の目安
- グレード別に見る燃料代・電気代の試算
- 車検・点検・部品代の傾向
- Gクラスのリセールバリューが高いといわれる背景と注意点
ゲレンデ(Gクラス)の維持費を左右する車種構成
ゲレンデの維持費は、どのグレード・パワートレインを選ぶかによって内容が大きく変わります。現行Gクラスにはディーゼル、電気自動車(BEV)、ガソリンV8ツインターボの3系統があり、それぞれ自動車税の区分や燃料代の性質が異なります。まずは価格とパワートレインの全体像を押さえたうえで、次章から具体的な維持費の内訳を見ていきましょう。

現行グレードと新車価格(G450d・G580 with EQ Technology・AMG G63)
- G450d(ISG):3.0L直列6気筒ディーゼルターボ+ISGマイルドハイブリッド、新車価格1,857万円〜
- G580 with EQ Technology:四輪独立モーター駆動の電気自動車、新車価格2,237万円〜(上級仕様のEdition 1は2,635万円)
- AMG G63:4.0L V8ツインターボ+ISGマイルドハイブリッド、新車価格2,849万円〜(カタログ掲載の特別仕様車は3,500万円台まで)
| 項目 | G450d(ISG) | G580 with EQ Technology | AMG G63 |
| パワートレイン | 3.0L直6ディーゼルターボ+ISG | 四輪独立モーター(BEV) | 4.0L V8ツインターボ+ISG |
| 総排気量/システム出力 | 2,988cc・367PS | 432kW(587PS) | 3,982cc・585PS |
| WLTC燃費/一充電走行距離 | 11.7km/L | 530km(バッテリー116kWh) | 6.8km/L |
| 車両重量 | 約2,540kg | 約3,120kg | 約2,570kg |
3つのグレードは車両価格だけでなく、車両重量やエンジン特性も異なります。この違いが、次章で解説する税金や燃料代に直接影響してきます。価格やグレード装備の詳細は在庫状況によって変わるため、最新情報は公式サイトまたは正規販売店でご確認ください。
自動車税(種別割)はグレードでどう変わるか
- G450d(総排気量2,988cc):「2,500cc超3,000cc以下」の区分で年額5万円
- AMG G63(総排気量3,982cc):「3,500cc超4,000cc以下」の区分で年額6万5,500円
- G580 with EQ Technology(BEV):総排気量を持たないため最も低い「1,000cc以下」相当の区分で年額2万5,000円。初度登録の翌年度はグリーン化特例によりさらに軽減される
自動車税(種別割)は、2019年10月1日以降に新車新規登録された自家用乗用車を対象に、総務省が公表している排気量区分別の税額表で決まります。ディーゼルのG450dとガソリンV8のAMG G63では区分が2段階異なり、年額で1万5,500円の差が生まれます。一方、電気自動車のG580 with EQ Technologyは総排気量がないため最も低い区分が適用され、車両価格が最も高いグレードでありながら自動車税は最も安いという逆転が起こる点は覚えておきたいポイントです。なお、新車購入時にはこれとは別に取得価額に応じた「環境性能割」もかかるため、正確な金額は購入時に正規ディーラーで見積もりを確認してください。
Gクラスの維持費の内訳|税金・保険・燃料代
ここからは、毎年または車検のたびに発生する費用を項目ごとに見ていきます。税金や自賠責保険料のように公的に決まっている費用は断定できますが、任意保険料や燃料代は条件によって変動するため、「目安」として幅を持たせて紹介します。
自動車重量税・自賠責保険の目安
- 自動車重量税(エコカー減税の対象外となる標準税率):車両重量0.5トンごとに年4,100円
- G450d(約2,540kg)・AMG G63(約2,570kg):いずれも6ユニット分に該当し、標準税率では年2万4,600円相当(車検時2年分で4万9,200円、新車新規登録時3年分で7万3,800円)
- G580 with EQ Technology(約3,120kg):標準税率なら7ユニット分だが、電気自動車はエコカー減税の対象で新車新規登録時3年分・初回車検時2年分の自動車重量税が免税となる
- 自賠責保険料:24カ月契約で1万7,650円(自家用乗用車の全国一律料金。2026年11月1日以降始期の契約分からは1万8,560円に改定予定)
自動車重量税は車両重量に応じて決まるため、車両価格の高さとは連動しません。G450dとAMG G63は車両重量が近く、税額もほぼ同水準です。もっとも重いG580 with EQ Technologyは本来であれば税額が高くなる区分ですが、国土交通省が公表しているエコカー減税の枠組みにより、2026年5月1日から2028年4月30日までの間に新車新規登録する電気自動車は新規登録時3年分と初回車検時2年分の自動車重量税が免税されます。自賠責保険料は車種を問わず全国一律の金額で、こちらは断定できる数字です。
任意保険料の傾向
- 年齢条件、等級(割引率)、車両保険の有無などで金額が大きく変動する
- 車両価格が2,000万円を超えるため、車両保険を付帯すると保険料全体に占める車両保険部分の比重が大きくなりやすい
- 輸入車・高級SUVは型式別料率クラスや部品・修理費の水準が保険料に反映されやすい傾向がある
任意保険料は、契約者の年齢や等級、走行距離、車両保険の有無によって金額が大きく変わるため、「ゲレンデだから〇〇円」と一律に断定することはできません。車両価格が高いグレードほど、事故や盗難で車両保険を使った際の支払保険金も大きくなるため、車両保険を付帯するかどうかで総額に数十万円単位の差が出ることも珍しくありません。正確な保険料は、複数の保険会社で見積もりを取って比較することをおすすめします。
燃料代・電気代の試算(グレード別)
- G450d:軽油159.2円/L(全国平均目安)×WLTC燃費11.7km/Lで試算すると、年間1万km走行で約13万6,000円
- AMG G63:ハイオク180.7円/L(全国平均目安)×WLTC燃費6.8km/Lで試算すると、年間1万km走行で約26万6,000円
- G580 with EQ Technology:家庭用電力目安単価31円/kWh×電費(116kWhで530km)で試算すると、自宅充電を中心にした場合は年間1万km走行で約6万8,000円
| グレード | 燃料/電力単価の目安 | 年間1万km走行時の目安 |
| G450d | 軽油159.2円/L | 約13万6,000円 |
| AMG G63 | ハイオク180.7円/L | 約26万6,000円 |
| G580 with EQ Technology | 家庭用電力目安31円/kWh(自宅充電の場合) | 約6万8,000円 |
燃料代の試算は、資源エネルギー庁の石油製品価格調査に基づく全国平均価格(ハイオク180.7円/L、軽油159.2円/L)とWLTCモード燃費をもとにしています。ガソリン・軽油価格は毎週変動するため、あくまで目安としてご覧ください。AMG G63は排気量・出力の大きさから燃料代が最も高くなり、G450dはディーゼルならではの燃費の良さと軽油の単価の安さで燃料代を抑えやすい構成です。G580 with EQ Technologyの電気代は、全国家庭電気製品公正取引協議会が示す目安単価(31円/kWh)をもとに自宅の普通充電を想定して試算した数値であり、外出先での急速充電を中心に利用する場合は、充電サービスの料金プランによってこれより高くなることがあります。実際のコストは、自宅に充電設備を確保できるかどうかで大きく変わる点に注意してください。
車検・整備費用の傾向とリセールバリュー
税金や保険料と違い、車検や部品代、そして将来のリセールバリューは、依頼先や市場動向によって差が出やすい項目です。ここでは断定できる内容と、傾向として押さえておきたいポイントを分けて紹介します。

車検・点検・部品代の傾向
- 車検の総額は「法定費用(自賠責保険料・自動車重量税・印紙代)」と「点検整備費用(技術料・部品代)」の合計
- 法定費用は前章の金額をもとに見積もりやすいが、点検整備費用は依頼先によって差が出やすい
- ディーゼル・V8ツインターボ・電気モーターとパワートレインが異なるため、対応できる整備拠点も車両によって変わる
車検費用のうち法定費用は、前章の自賠責保険料と自動車重量税を合わせて見積もることができます。一方、点検整備費用は輸入車の中でも希少性の高いGクラスの場合、専用の診断機や部品の取り寄せが必要になることがあり、一般的な輸入車以上に技術料・部品代がかさむ傾向があるといわれます。正規ディーラーのほか、輸入車の整備実績が豊富な専門工場を選択肢に入れることで、費用を抑えられるケースもあります。特にAMG G63のようなハイパフォーマンスグレードは、タイヤやブレーキなど消耗品のグレードも高くなりやすいため、日常的なランニングコストも踏まえて検討するとよいでしょう。
Gクラスのリセールバリューが高いといわれる背景
- 1979年の登場以来、外観の基本デザインを大きく変えずにモデルライフを重ねてきた
- オーストリア・グラーツのマグナ・シュタイヤー工場でハンドメイド生産され、1台の組み立てに約100時間、年間生産台数は約4万5,000台にとどまる
- 現在生産されているGクラスのうち、約6割をAMG G63が占めるほど需要が旺盛で、納期が1年を超えることも珍しくないと報じられている
Gクラスが中古車市場で値落ちしにくいと語られる背景には、生産体制そのものが影響しています。自動車専門メディアwebCGの報道によると、Gクラスはオーストリア・グラーツの工場でほぼ手作業により生産されており、1台の組み立てにおよそ100時間、年間生産台数はおよそ4万5,000台にとどまります。需要が供給を上回る状態が続いているため、AMG G63は正規価格での入手が難しく、納期が1年を超えることもあるといいます。こうした「欲しくてもすぐ買えない」状況が、新車だけでなく中古車市場での評価を押し上げる一因になっていると考えられます。
年式・グレードによるリセールの違いと注意点
- 中古車買取・販売店の情報では、Gクラスは他の輸入車と比べて年式が経過しても値落ちが緩やかな傾向があると紹介されることが多い
- 一方で、国内登録台数の増加や市場の正常化を背景に、近年は下落幅がやや大きくなったとする指摘も見られる
- 電気自動車のG580 with EQ Technologyは登場から日が浅く、バッテリー劣化への懸念などEV特有の要因もあるため、ディーゼル・ガソリン車と同列のリセール実績はまだ確立していない
中古車買取会社などが発信する情報を見ると、Gクラスは長年にわたり高い人気を維持してきたモデルとして、他の輸入車と比べて値落ちが緩やかな傾向にあると紹介されるケースが目立ちます。ただし、これらはメーカーが公表する公式データではなく、あくまで販売・買取事業者の相場観であることには注意が必要です。実際、国内の新車登録台数が増加し、コロナ禍以降の一時的な高騰が落ち着いてきたことで、以前ほどの値上がり基調ではなくなってきたとする指摘も出てきています。人気グレードのAMG G63と、登場したばかりのG580 with EQ Technologyでは、市場での実績や評価が積み上がっている度合いも異なります。「Gクラスだから一律にリセールが良い」と決めつけず、購入したいグレードの直近の取引相場を、購入時点で正規ディーラーや複数の買取店で確認することをおすすめします。
オーナーレビューに見るゲレンデの維持費・リセールの実感
carview!(カービュー)のGクラスユーザーレビューには298件の評価が寄せられ、総合評価は5点満点中4.4です。カテゴリー別では特にデザインへの評価が高く、オーナーからは「リセールバリューが良い」という声も見られ、資産性への信頼感がうかがえます(参考:carview! メルセデス・ベンツ Gクラス ユーザーレビュー)。
一方で、カテゴリー別評価では燃費の項目が他の項目より低く、価格に対する評価もやや控えめです。「燃料代や維持費はそれなりに掛かる」という声や、走行条件によって実燃費が大きく変動するという指摘も見られます。人気やリセールの高さだけに目を向けるのではなく、本記事で紹介した維持費の内訳を踏まえたうえで、購入を検討することをおすすめします。
まとめ|ゲレンデの維持費とリセールをどう捉えるか
ゲレンデ(Gクラス)の維持費とリセールバリューについて、断定できる金額と、傾向として見るべきポイントを整理しました。
| 項目 | G450d | AMG G63 | G580 with EQ Technology |
| 自動車税(種別割・年額) | 5万円 | 6万5,500円 | 2万5,000円(初回登録翌年度は軽減) |
| 自動車重量税(年額換算・標準税率) | 2万4,600円相当 | 2万4,600円相当 | 2万8,700円相当(新規登録3年分・初回車検2年分は免税) |
| 自賠責保険(24カ月) | 1万7,650円(全車種一律。2026年11月以降は1万8,560円) | ||
- 自動車税は排気量区分なりの水準で、電気自動車のG580 with EQ Technologyが最も安い
- 自動車重量税・自賠責保険などの法定費用は、税額表・料率表に基づき事前に把握できる
- 燃料代・電気代はグレードごとの差が大きく、AMG G63が最も高くなりやすい
- 任意保険料・車検の点検整備費用は個人差・依頼先による差が大きく、複数社・複数工場で見積もりを取るのが安心
- リセールバリューが高いといわれる背景には限られた生産体制と旺盛な需要があるが、市場動向は常に変動するため最新の相場確認が欠かせない
税金や自賠責保険料のように公的に決まっている費用は、グレードによる違いを事前に把握できます。差が出やすいのは、燃料代・電気代の使い方次第の部分や、輸入車ならではの部品・工賃事情が影響する車検・修理費用、そして契約条件次第で変動する任意保険料です。リセールバリューについても、「Gクラスだから常に値上がりする」と考えるのではなく、生産体制や需要の変化を踏まえた傾向として捉え、購入・売却のタイミングでは必ず最新の市場情報を確認することが大切です。サイズや取り回しが気になる方は、別記事「ベンツGクラス(ゲレンデ)のサイズ・車幅は?寸法と駐車場の注意点」もあわせてご確認ください。
出典・参考情報
- 総務省「2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります」
- 日本自動車工業会「エコカー減税(自動車重量税)」
- 三井住友海上「自賠責保険料」
- インズウェブ「2026年11月より自賠責保険料が値上げへ」
- 石油製品価格情報(資源エネルギー庁調査ベース)
- 全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金目安単価」
- メルセデス・ベンツ日本「G 580 with EQ Technology Edition 1を発売」
- webCG「ハンドメイドでコツコツと Gクラスはかくしてつくられる」
- webCG「いま生産されているGクラスの約60%! 新しいメルセデスAMG G63のすべてを紹介」
- carview! メルセデス・ベンツ Gクラス ユーザーレビュー