
国内仕様の4代目ロードスターでは、ソフトトップ車に1.5Lエンジン、RFに2.0Lエンジンが設定されてきました。そこに加わったのが、国内仕様の4代目ソフトトップとして初めて2.0Lエンジンを搭載する「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」です。
ラインナップは、最高出力184PSの「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」と、最高出力200PSの限定モデル「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R」の2種類です。
予約受注は2025年10月24日に開始され、発売は2026年1月上旬と案内されました。本記事では、両モデルの性能、装備、価格、通常のロードスターやRFとの違いを、マツダ公式情報に基づいて解説します。
この記事のポイント
- 4代目ロードスターの国内仕様ソフトトップとして初の2.0Lエンジン搭載モデルの詳細
- 標準モデル(184PS)と12R(200PS)の仕様・装備の違い
- 専用サスペンション・ビルシュタイン製ダンパー・RAYSと共同開発した鍛造アルミホイールなどの装備
- 通常のロードスターやRFとの性能・価格比較
MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERとは?


マツダが新たに立ち上げたサブブランド「MAZDA SPIRIT RACING」。その第一弾として投入されるのが、ロードスターをベースにしたコンプリートカーです。
これまでの「RS」や「NR-A」といったグレードとは一線を画し、スーパー耐久シリーズなどで培ったノウハウを市販車にフィードバック。「街中からサーキットまで意のままに操れる」をコンセプトに、メーカー純正のチューニングカーとして開発されました。
最大の特徴は、4代目「MAZDA ROADSTER」の国内仕様ソフトトップモデルとして初めて、2.0Lエンジン(SKYACTIV-G 2.0)を搭載している点です。
ラインナップは2種類
以下の2つのラインナップが展開されています。
- 標準モデル:快適装備も備えつつ、スポーツ走行に対応した2.0Lモデル。
- 12R(イチニアール):200PS仕様のエンジン、フルバケットシート、シングルマスフライホイール、専用エキゾーストマニホールドなどを採用した、200台限定で商談予約抽選が行われたメーカーコンプリートモデル。
2.0Lエンジンと足回りの詳細
具体的にどのような性能を持っているのでしょうか。注目のスペックを深掘りします。
1. SKYACTIV-G 2.0搭載

写真出典:Mazda Motor Corporation
ベースとなるエンジンはRFに搭載されている2.0L直列4気筒エンジンですが、MAZDA SPIRIT RACINGのために専用チューニングが施されています。
標準モデルのエンジン特徴:
- RFと同じ184PSを発揮しながら、専用スロットル制御によりレスポンスを向上
- レブリミット直前まで出力を絞らない制御を採用
- ヒールアンドトゥ操作時の回転上昇アシスト機能
- ラジエーター容量の大型化
- トランスミッションのメインドライブギアへの固体被膜潤滑剤
- 特定操作によるブレーキオーバーライドシステムとスピードリミッターの同時解除機能(※サーキット走行を前提とした機能であり、公道では使用できません)
12Rのエンジン特徴:
12Rでは、吸気ポート形状の変更と熟練エンジニアによる吸気ポート内側の手作業研磨、カム形状の変更、藤壺技研工業と共同開発した4-1排気の専用エキゾーストマニホールド、シングルマスフライホイール、低抵抗ピストンおよびDLC被膜ピストンリング、手塗りの結晶塗装を施したエンジンヘッドカバーなどにより、最高出力を200PSまで高めています。
2. 足回りとボディの強化


パワーアップに合わせて、シャーシ性能も大幅に引き上げられています。
- 専用サスペンション:専用チューニングを施したサスペンションとビルシュタイン製ダンパー、ストラットタワーバーを採用。標準モデルはスチール製、12Rはアルミニウム製のストラットタワーバーを装備。
- ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスクを採用します。さらにサーキット走行向けのアフターパーツとして、Brembo Japanによるスリットローター&スポーツパッドのブレーキセットが「MAZDA SPIRIT RACING SPORTS PACKAGE」として用意されています。
- ホイール:RAYSと共同開発した専用鍛造アルミホイールを採用。スーパー耐久参戦車「MAZDA SPIRIT RACING RS Future concept」が装着するTE37をベースに、剛性や形状を最適化しています。
- 12R専用の足回り仕上げ:熟練工による高精度なサスペンションアームの締め付けとホイールアライメント調整も実施されます。
3. 機能美を追求した内外装


- エクステリア:専用フロントグリル、RAYSと共同開発した鍛造アルミホイール、走行安定性を追求したリアスポイラーなどを採用しています。12Rには専用デカールやRSグレーのエアロパーツが設定され、標準モデルとの差別化が図られています。
- インテリア(標準モデル):RECAROと共同開発したセミバケットシート(アルカンターラ®/ナッパレザー)、アルカンターラを使用したステアリング、シフトノブ、パーキングブレーキレバー。
- インテリア(12R):RECAROと共同開発したフルバケットシート(表皮にRECARO純正のカムイ素材)、アルカンターラを使用したステアリング、シフトノブ、パーキングブレーキレバー。
サーキット走行向けのSPORTS PACKAGEも用意
マツダは、よりサーキット走行に適した仕様を求めるユーザー向けに「MAZDA SPIRIT RACING SPORTS PACKAGE」を用意しています。
主なパーツは以下の通りです。
- 藤壺技研工業によるチタン製スポーツマフラー
- 横浜ゴム「ADVAN NEOVA AD09」
- Brembo Japanによるスリットローター&スポーツパッド
- OS技研によるLSDと専用オイル
- RECARO製フルバケットシートとサイドアダプター
- Sabeltとのダブルブランドによる4点式/6点式ハーネス
これらは原則として標準装備ではなく、マツダ販売店で購入するアフターパーツです。ただし、12Rにはフルバケットシートが標準装備されています。サーキット走行向けのアフターパーツには、横浜ゴムのスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09」が用意されています。標準装着タイヤとは別商品である点に注意が必要です。
【徹底比較】通常ロードスターやRFとの違い
ここが最も悩ましいポイントです。「通常のS Special Package」や「RF」と比較して、どのような違いがあるのかを表にまとめました。
| 比較項目 | MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER | MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R | ROADSTER S Special Package 6MT | ROADSTER RF S 6MT |
| エンジン | 2.0L直列4気筒 | 2.0L直列4気筒 | 1.5L直列4気筒 | 2.0L直列4気筒 |
| 最高出力 | 184PS | 200PS | 136PS | 184PS |
| 最大トルク | 205N·m | 215N·m | 150N·m | 205N·m |
| ルーフ | ソフトトップ | ソフトトップ | ソフトトップ | 電動格納式ハードトップ |
| トランスミッション | 6MT | 6MT | 6MT | 6MT |
| 車両重量 | 1,070kg | 1,050kg | 990kg | 1,100kg |
| 価格(税込) | 5,265,700円 | 7,612,000円 | 3,087,700円 | 3,796,100円 |
| 主な特徴 | 4代目国内仕様ソフトトップ初の2.0L・街中からサーキットまで対応 | 200PS・フルバケット・専用エキゾースト・熟練工調整 | 扱いやすいパワーと軽快な走り | GT的な快適性・全天候型 |
※ROADSTER S Special Package・ROADSTER RF Sの車両重量・最大トルクはマツダ公式主要諸元表の最新値を確認してください。
比較からの選択診断
- MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERを選ぶべき人:メーカー純正で完成されたスポーツ走行を求め、2.0Lのトルクで力強く走りたいが、RFの重さは避けたい人。
- 通常の1.5Lモデルを選ぶべき人:ロードスター本来の「使い切れるパワー」や「軽さ」を楽しみたい人。予算を抑えて、自分好みに少しずつカスタムしたい人。
- RFを選ぶべき人:高速道路での移動が多く、快適性や静粛性も重視する人。電動ルーフの利便性が必須な人。
発売時期・価格・販売台数

発売時期と価格
MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERは、2025年10月24日に予約受注が開始され、発売は2026年1月上旬と案内されました。
価格は以下の通りです(税込)。
- 標準モデル:5,265,700円
- 12R(2.0L 200PS限定モデル):7,612,000円
販売台数と販売状況
- 標準モデル:2,200台限定(2,200台には販売店へ配備される試乗車が含まれます)。
- 12R:新車として抽選販売される車両は200台。なお、プロモーション車両などが生産・販売される場合があります。
12Rの商談予約抽選はすでに終了しています。標準モデルについても2,200台限定であるため、現在の受注可否、在庫、納期は最寄りのマツダ販売店で確認してください。
価格差をどう考えるか
12Rは標準モデルより約234万円高く設定されています。その価格差には、200PS仕様の専用エンジン、フルバケットシート、シングルマスフライホイール、専用エキゾーストマニホールド、熟練工による足回りの調整、専用デカールなどが含まれます。
メーカーが車両全体の耐久性、冷却、制御、足回りを含めて開発し、完成車として販売している点は、個別のパーツ交換とは異なる価値といえます。
一方で、将来の中古車価格やリセールバリューは、市場の需要、車両状態、走行距離、保管状況などによって変動します。限定台数であることだけを理由に、値上がりや高値維持を保証することはできません。
オーナーレビューに見るロードスターの実感
SPIRIT RACINGならではの魅力を、通常モデルのオーナー評価と比べて見ておきましょう。carview!(カービュー)のロードスターユーザーレビューには3,300件を超える評価が蓄積されており、総合評価は5点満点中4点台後半。運転の楽しさと軽快さ、色褪せないデザインへの満足が圧倒的です(参考:carview! ロードスター ユーザーレビュー)。
一方で、積載性の項目評価は低く、乗り心地はやや硬めという指摘もあります。SPIRIT RACINGは足回りをさらに専用チューニングした限定モデルのため、こうした割り切りがより濃く出る可能性がある点は試乗で確認しておきたいところです。
まとめ
MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERは、4代目ロードスターの国内仕様ソフトトップとして初めて2.0Lエンジンを搭載したモデルです。
標準モデルは184PSと1,070kgの車体を組み合わせ、街中からサーキットまで幅広く楽しめる仕様です。12Rは200PS仕様のエンジン、フルバケットシート、シングルマスフライホイール、専用エキゾーストマニホールドなどを採用し、サーキット走行をより重視したメーカーコンプリートモデルに仕上げられています。
一方、標準モデルでも5,265,700円、12Rでは7,612,000円となるため、通常のロードスターやRFとの価格差は小さくありません。日常での快適性、サーキット走行の頻度、限定モデルへの価値観を踏まえて選ぶことが重要です。
- ポイント1:4代目ロードスターの国内仕様ソフトトップとして初となる2.0Lエンジン搭載車。
- ポイント2:12Rは200PS仕様の専用チューニングエンジン、フルバケットシート、専用エキゾーストマニホールドなどを備えた、サーキット走行重視のメーカーコンプリートモデル。
- ポイント3:12Rの商談予約抽選は終了。標準モデルの受注可否や納期については、最寄りのマツダ販売店で最新情報を確認してください。
一次情報・参照先
- マツダ公式「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」車種ページ
- マツダ公式「グレード・価格」
- マツダ公式ニュースリリース(2025年10月24日)
- マツダ公式主要諸元表
- マツダ公式「MAZDA SPIRIT RACING SPORTS PACKAGE」