
「スーパーカーのベンチマーク」として君臨した720Sの後継モデル、マクラーレン750Sスパイダー。
一見すると先代モデルと似たスタイリングですが、中身は30%ものパーツが刷新され、全く別のフィーリングを持つ車へと進化しています。特に注目すべきは、電動化が進むスーパーカー市場において、あえて**「純ガソリンエンジンのV8ツインターボ」**を磨き上げた点です。
なぜ今、マクラーレン750Sスパイダーが多くの愛好家から**「人気」**を集め、選ばれているのでしょうか?
この記事では、720Sからの具体的な進化ポイント、ライバルであるフェラーリ296GTSとの比較、そしてオーナー目線で嬉しい実用性の向上について徹底解説します。「最後の純内燃機関スーパーカー」としての価値を、ぜひ確かめてください。
この記事のポイント
- 720Sから30kg軽量化・30PS出力向上したスペックの詳細
- 批判の多かった**「排気音」が劇的に改善**された理由
- フェラーリ296GTS(ハイブリッド)との決定的な乗り味の違い
- ノーズリフト速度など、実用面での隠れた進化
マクラーレン750Sスパイダーが「最高傑作」と人気を集める3つの理由
750Sスパイダーが単なるマイナーチェンジに留まらず、多くのオーダーを抱える人気モデルとなった背景には、明確な3つの理由があります。
1. 純ガソリンV8ツインターボの「官能的なサウンド」への回帰

先代720Sの数少ない弱点として挙げられていたのが「サウンドの迫力不足」でした。速さは一級品でも、情緒的なドラマが足りないという声に対し、マクラーレンは750Sで明確な回答を出しました。
- センター出しエグゾースト: 有名なハイパーカー「マクラーレンP1」を彷彿とさせるセンター出しレイアウトを採用。
- サウンドチューニング: よりクリアで高音域が響くように再設計され、オープンエア時の高揚感が劇的に向上しています。
始動時の咆哮からレッドゾーンまでの吹け上がりは、ハイブリッド車では味わえない純粋な機械的快感をもたらします。
2. ハイブリッド車には不可能な「圧倒的な軽さ」
近年のスーパーカーはハイブリッド化により重量増が避けられない傾向にあります。しかし、750Sスパイダーはバッテリーを積まない純ICE(内燃機関)車としての利点を最大限に活かしています。
- 乾燥重量1,326kg: オープンモデルでありながら、この軽さは驚異的です。
- カーボン・モノケージII-S: 強靭なカーボンタブのおかげで、屋根を開けても剛性不足を一切感じさせません。
「軽さは正義」を体現するハンドリングは、コーナーへの進入でドライバーに絶対的な自信を与えてくれます。
3. 日本の道路事情にマッチした「劇的な実用性向上」
日本のオーナーにとって実は最も嬉しい進化が、日常の使い勝手です。
- ノーズリフト速度: 720Sでは約10秒かかっていた車高上げが、わずか4秒に短縮されました。これはコンビニの入り口やスロープで後続車を待たせずに済む劇的な進化です。
- マクラーレン・コントロール・ランチャー (MCL): お気に入りの設定(足回り、パワートレイン、空力)をボタン一つで呼び出せる機能が追加されました。
【徹底比較】750Sスパイダー vs 720Sスパイダー|どこが進化した?

「見た目が変わらないなら、720Sの中古でいいのでは?」と迷う方もいるでしょう。しかし、乗り比べるとその差は歴然です。
スペック比較:30%の新規パーツがもたらす差
足回りの進化(PCC III)とギア比変更の恩恵

750Sでは、サスペンションシステムが「PCC III(プロアクティブ・シャシー・コントロール3)」へと進化しました。
フロントのスプリングレートをややソフトにし、リアを硬めることで、**「街乗りでの乗り心地はより優しく、サーキットではより鋭く」**という魔法のような挙動を実現しています。
また、ファイナルギアがショート化されたことで、各ギアでの加速がよりダイレクトになりました。これにより、日本の公道レンジでもエンジンのポテンシャルを引き出しやすくなっています。
インテリアとインフォテインメントの現代化

運転席に座ると、以下の変化に気づきます。
- メーターパネル: ステアリングコラムと一緒に動くタイプに変更され、テレスコピック調整をしても視認性が確保されます。
- Apple CarPlay対応: USB接続でCarPlayが使用可能になり、ナビや音楽の利便性が現代の水準に追いつきました。
ライバル比較|750S スパイダー vs フェラーリ296 GTS

購入検討時の最大のライバルとなるのが、V6プラグインハイブリッドを搭載するフェラーリ 296 GTSです。
選択基準チャート:あなたに向いているのはどっち?
どちらも素晴らしい車ですが、キャラクターは明確に異なります。
| 特徴 | マクラーレン 750S スパイダー | フェラーリ 296 GTS |
| パワートレイン | 4.0L V8 ツインターボ (純ガソリン) | 3.0L V6 ツインターボ + モーター (PHEV) |
| システム出力 | 750 PS | 830 PS |
| 車両重量 | 超軽量 (約1,438kg DIN) | 重め (約1,680kg前後 ※実測値差あり) |
| 駆動方式 | 後輪駆動 (MR) | 後輪駆動 (MR) |
| ハンドリング | 軽さを活かしたナイフのような切れ味 | モーターのトルクと電子制御による先進的な走り |
| サウンド | 自然なV8の咆哮 | V6だがV12のような高音 (ピッコロV12) |
| 価格帯 | オプション込で4,000万円台後半〜 | オプション込で5,000万円台後半〜 |
結論:どちらを選ぶべきか
- マクラーレン 750S スパイダーを選ぶべき人:
- **「軽さ」**こそがスポーツカーの命だと考える人。
- ハイブリッドシステムの寿命や重量を気にせず、純粋なエンジンの鼓動を感じたい人。
- ストイックなドライビング体験を求める人。
- フェラーリ 296 GTSを選ぶべき人:
- モーターアシストによる爆発的なトルクと、最新の電子制御デバイスを楽しみたい人。
- EVモードでの早朝・深夜の静かな移動が必要な人。
- フェラーリというブランドの華やかさを重視する人。
購入前に知っておくべきオプションと注意点

750Sスパイダーをオーダー、あるいは中古車を探す際にチェックすべきポイントです。
必須級のおすすめオプション
- エレクトロクロミック・ルーフ
- ボタン一つでガラスルーフの透明/不透明を切り替えられます。日本の強烈な日差しを遮るために、スパイダーモデルでは非常に人気の高いオプションです。
- バウワース&ウィルキンス (B&W) オーディオ
- エンジン音も最高ですが、クルージング時の快適性を高めるなら必須です。
- スーパーライトウェイト・カーボンファイバー・レーシングシート
- ホールド性が高く、車両の軽量化コンセプトに合致しています。ただし、街乗りメインなら標準シートの方が快適な場合もあります。
まとめ:750Sスパイダーは「今」乗るべき一台か

マクラーレン750Sスパイダーは、革新的な技術を詰め込みながらも、**「ドライバーと車の対話」**という古典的なスポーツカーの喜びを極限まで高めたモデルです。
電動化へとシフトする過渡期において、純ガソリンエンジン、油圧パワーステアリング、そして超軽量ボディというパッケージは、今後ますます希少価値が高まるでしょう。
720Sからの進化は、スペックシートの数字以上に**「感性」**の領域で顕著です。理屈抜きで「運転していて楽しい」と思える、最後のアナログ・スーパーカーの完成形。それが750Sスパイダーです。