
「セダンはもう時代遅れ」——そんな空気が広がるなかで、レクサスの基幹サルーンが第8世代へと生まれ変わりました。レクサス新型ESは、従来のハイブリッドに加えてBEV(電気自動車)を初めてラインナップに加え、上級セダンの選択肢を一気に広げています。とはいえ、グレードが増えたぶん「HEVとBEVのどちらを選ぶべきか」「価格差に見合う価値があるのか」と迷う方も多いはずです。
2026年6月に日本発売された新型ESは、ボディサイズが一回り拡大し、内装にはレクサスが「世界初」とする新機構を採用するなど、単なるマイナーチェンジとは一線を画す進化を遂げました。価格は790万円から920万円まで幅広く、パワートレインや駆動方式の組み合わせも複雑です。選び方を間違えると、必要のない装備に予算を使ってしまう可能性もあります。
この記事では、レクサス新型ESの価格・グレード構成・スペックを公式情報にもとづいて整理し、HEVとBEVの選び方、競合セダンとの立ち位置までを解説します。自分に合う一台を絞り込むための判断材料が得られるはずです。
この記事のポイント
- 第8世代でHEVとBEVの二本立てとなり、ボディは全長5,140mmへ拡大
- 価格は790万円〜920万円、HEV「ES350h」とBEV「ES350e/ES500e」で構成
- 用途別に見たHEVとBEVの選び方と、駆動方式(FWD/AWD)の判断基準
- レスポンシブヒドゥンスイッチなど新世代インテリアの装備と、HEV・BEVの燃費/航続距離
- クラウンや輸入セダンとの棲み分けから見た、新型ESが向いている人
レクサス新型ES(8代目)の全体像|何がどう変わったのか
まずは新型ESが先代からどう進化したのか、全体像を押さえておきましょう。最大のトピックは、日本仕様ではハイブリッド専用だったESにBEVが加わったことと、ボディサイズが明確に拡大したことです。この2点を理解しておくと、後半のグレード選びがぐっと分かりやすくなります。

2026年6月に発売された第8世代の位置づけ
- 日本での発売は2026年6月11日
- 初代ESは1989年登場、今回で第8世代にあたる
- レクサスの電動化を担う中核セダンとして刷新
ESはレクサスの上級FFセダンとして、静粛性と快適な乗り味を軸に支持を集めてきたモデルです。第8世代では新開発のプラットフォームを採用し、外観は低重心を強調したフロントマスクと流れるようなルーフラインへと大きく変わりました。派手さを競うのではなく、質感と居住性で選ぶセダンという性格は健在です。
HEVとBEVの二本立てという新機軸
- HEVは2.5L直4ハイブリッドの「ES350h」
- BEVはFWDの「ES350e」とAWDの「ES500e」
- 同じ車格でエンジン車と電気自動車を選べる
日本仕様の先代ESはハイブリッド専用でしたが(北米などの海外市場では先代にもガソリン車が設定されていました)、新型では日本でも初めてBEVが設定されました。BEVには前輪駆動のES350eと、より高出力な四輪駆動のES500eが用意されます。「セダンの快適性はそのままに、動力源だけを選びたい」というニーズに応える構成で、ここが従来モデルとの決定的な違いです。
一回り拡大したボディサイズと居住性
- 全長5,140mm×全幅1,920mm×全高1,555mm(BEVは1,560mm)
- ホイールベースは2,950mm
- 先代(4,975×1,865×1,445mm)から明確に拡大
ボディは先代から全長で165mm、全幅で55mm拡大しました。全幅1,920mmは日本の道路事情では立派なワイドボディで、機械式駐車場や狭い路地では取り回しに気を配りたいサイズです。一方で拡大したホイールベースは後席の足元空間に効いており、ショーファードリブンとしての快適性を高めています。購入前には自宅や職場の駐車環境を必ず確認しておきましょう。
価格とグレード構成|どのモデルを選ぶべきか
新型ESの価格は790万円から920万円までと幅があります。HEVとBEV、そしてFWDとAWDの組み合わせでグレードが分かれるため、まずは全体の価格帯を一覧で把握するのが近道です。ここでは公式サイトに掲載されたグレードと価格を整理します。



写真出典:LEXUS
HEV「ES350h」の価格と特徴
- 2WD(FWD)が790万円、AWDが810万円
- 2.5L直4ハイブリッドのシステム最大出力は248PS
- 充電インフラを気にせず乗れる現実的な選択肢
ES350hは新型ESの入口となるハイブリッドグレードです。2.5L直列4気筒エンジンにハイブリッドを組み合わせ、システム最大出力は248PSを確保します。充電環境が不要で、従来のES同様に燃費と航続の安心感を重視する人に向いています。BEVより価格が抑えられている点も、乗り換えのハードルを下げてくれます。
BEV「ES350e/ES500e」の価格と特徴
- ES350e(FWD)は790万円、“version L”は880万円、“Rr Comfort package”は920万円
- ES500e(AWD)は830万円、“version L”は920万円
- 150kW急速充電で残量約10%から約80%まで約28分(条件付き)
BEVは前輪駆動のES350eと四輪駆動のES500eに分かれます。ES350eは航続距離を重視した構成で、WLTCモードで670km(19インチタイヤ装着時)をうたいます。ES500eは前後2基のeAxle(モーター)による四輪駆動で、システム最大出力252kW(342PS)、0-100km/h加速5.5秒という力強さと、安定感のある走りが持ち味です。ES350eには、後席のリクライニングやオットマン、助手席前倒し機能を備えた“Rr Comfort package”も設定されます。急速充電は150kWに対応し、駆動用電池の温度が約25℃の場合に満充電量の約10%から約80%まで約28分が目安とされています。ただしバッテリー残量や外気温、充電スタンドの仕様によって所要時間は変わるため、公表値はあくまで条件がそろった場合の数値と捉えてください。グレードと価格は次の通りです。
| グレード | パワートレイン | 駆動 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| ES350h | 2.5L直4 HEV | FWD | 790万円 |
| ES350h | 2.5L直4 HEV | AWD | 810万円 |
| ES350e | BEV | FWD | 790万円 |
| ES350e “version L” | BEV | FWD | 880万円 |
| ES350e “Rr Comfort package” | BEV | FWD | 920万円 |
| ES500e | BEV | AWD | 830万円 |
| ES500e “version L” | BEV | AWD | 920万円 |
用途から考えるグレードの選び方
- 充電環境がなく長距離も多いならES350h
- 自宅充電ができ静粛性を最優先するならES350e
- 雪道や力強い走りも求めるならES500e
選び方の軸はシンプルです。自宅や職場に充電環境がなく、給油の手軽さを重視するならES350hが無難です。日常の多くを自宅充電でまかなえて、BEVならではの静けさを味わいたいならES350eが候補になります。降雪地でのトラクション性能や走行安定性を重視する場合は、AWDのES500eが有力な選択肢です。価格差はそのまま満足度に直結するわけではないため、まずは充電環境の有無で大きく絞り込むと迷いが減ります。
内装・装備と走行性能|新型ESの実力を見る
新型ESは価格に見合う中身を備えているのか。ここでは内装の新装備、HEVの燃費水準、そして競合セダンとの立ち位置を確認します。数値だけでは伝わりにくい「所有する満足感」に関わる部分です。

レスポンシブヒドゥンスイッチなど新世代インテリア
- レスポンシブヒドゥンスイッチを採用(レクサスは世界初とする)
- 面発光のバンブーレイヤリングなど新加飾
- 雰囲気を演出するインテリアイルミパッケージ
内装では、使わないときは加飾に溶け込み、操作時に浮かび上がるレスポンシブヒドゥンスイッチが採用されました。レクサスはこれを「2026年6月現在発表済みの車種において世界初(レクサス調べ)」としています。竹を用いた面発光のバンブーレイヤリングや、室内の雰囲気を整えるインテリアイルミパッケージなど、質感と先進性を両立させる工夫が随所に見られます。物理スイッチの操作感とデザインの美しさを両立させたい、という考え方が反映された空間です。
HEVの燃費とBEVの航続距離
- ES350hのWLTC燃費は25.4km/L(2WD)/24.8km/L(AWD)
- ES350eは航続670km(WLTC・19インチ装着時/21インチは618km)
- ES500eは航続636km(WLTC・19インチ装着時/21インチは583km)
ハイブリッドのES350hは、WLTCモードで25.4km/L(2WD)という上級セダンとしては優秀な数値を掲げています。BEVはES350eが670km、ES500eが636kmの航続をうたい、日常使いで充電の不安を感じにくい水準です。いずれも19インチタイヤ装着時の値で、21インチを選ぶとES350eは618km、ES500eは583kmとなる点は押さえておきたいところです。実際の燃費や電費は走行環境で変わるため、あくまで比較の目安として捉えてください。
クラウンや輸入セダンとの棲み分け
- 国産上級セダンのトヨタ・クラウンが比較対象
- 輸入車ではメルセデスEクラス、BMW5シリーズが競合
- ESは静粛性と後席の快適性で選ばれやすい
新型ESの価格帯は、国産ではトヨタ・クラウン、輸入車ではメルセデスEクラスやBMW5シリーズと重なります。スポーティな走りを前面に出すドイツ勢に対し、ESは静粛性としっとりした乗り味、そして後席の快適性で個性を打ち出しています。運転そのものを楽しむより、移動空間としての上質さを重視する人に向いた一台といえるでしょう。
まとめ|新型ESは「動力源を選べる上質セダン」
- 第8世代のESはHEVとBEVを選べるようになり、ボディも一回り拡大した
- 価格は790万〜920万円、まずは充電環境の有無でHEVかBEVかを絞り込む
- 全幅1,920mmのワイドボディのため、購入前に駐車環境の確認を。最新の価格・装備は公式サイトでご確認ください
新型ESは、上質なセダンという性格を守りながら、動力源を選べる自由度を手に入れたモデルです。給油の手軽さを取るならES350h、静けさと先進性を取るならBEVという整理で考えると、自分に合うグレードが見えてきます。ワイドボディゆえの取り回しには注意しつつ、移動空間としての質を重視する人にとって有力な選択肢となるでしょう。