
高級SUVの先駆的モデルとして知られ、しばしば「砂漠のロールスロイス」と形容されるレンジローバー。その存在感と洗練されたデザインに惹かれる一方で、ネット上で見かける「壊れやすい」「維持費がやばい」「やめとけ」といった声に不安を感じていませんか。
本記事では、レンジローバーファミリーのうち、主にフラッグシップモデルの「RANGE ROVER」を対象に解説します。レンジローバー スポーツ、ヴェラール、イヴォークは、車体サイズやパワートレイン、維持費などが異なるため、同じ条件には当てはまりません。
「憧れの車を手に入れたいけれど、購入後に後悔することは避けたい」——そう考えるのは自然なことです。RANGE ROVERは決して安い買い物ではなく、維持にも一定の心構えが必要です。ただし、「欠点」とされる内容を正しく理解し、事前に対策を講じておけば、後悔のリスクを減らすことができます。
本記事では、RANGE ROVERのオーナーが直面しやすい注意点を整理するとともに、それでも多くの人がこのモデルを選ぶ理由、そして後悔しないための具体的な選び方までを解説します。購入を検討する際の判断材料としてご活用ください。
この記事のポイント
- RANGE ROVERで注意したい装備の複雑さと修理費の考え方
- 燃料・税金・保険など年間維持費の試算例と、金額を左右する条件
- ボディサイズと機械式駐車場で確認すべきポイント
- 乗り心地やブランドの魅力、後悔しないための確認事項
RANGE ROVERの注意点と言われる5つのポイント

RANGE ROVERの購入を検討する際は、事前に知っておきたい注意点があります。以下の5つは、オーナーや専門店からもよく指摘される内容です。
- 1. 複雑な装備が多く、修理費が高額になる可能性がある
- 2. 維持費と修理コストの考え方
- 3. ボディサイズと駐車場・道路事情の注意点
- 4. リセールバリューについて
- 5. 販売・サービス拠点と部品待ちへの注意
1. 複雑な装備が多く、修理費が高額になる可能性がある
RANGE ROVERは、電子制御エアサスペンションや高度な運転支援機能、インフォテインメントシステムなど、多数の複雑な装備を搭載しています。故障率を一律に断定することはできませんが、不具合が発生した場合は診断や部品交換が高額になる可能性があります。中古車では、年式、走行距離、保管環境、整備履歴を個別に確認することが重要です。
- エアサスペンションの不具合
- 症状: 車高が上がらない、一晩で車高が下がっている、乗り心地が極端に硬くなる。
- 原因: ゴム製エアバッグの経年劣化によるエア漏れや、コンプレッサーの故障。
- 対策: エアサスペンションの耐久性は、年式、走行距離、使用環境、保管状態などによって異なります。特定の走行距離で必ず交換が必要になるわけではありません。中古車を検討する際は、車高の左右差、停車後の車高低下、コンプレッサーの作動時間、警告表示の有無などを確認し、必要に応じて正規リテイラーや専門店で点検を受けましょう。修理費は故障箇所や交換部品数によって大きく変わるため、購入前に実車を基に見積もりを取ることが重要です。
- 電装系(インフォテインメント・センサー)のトラブル
- 症状: ナビ画面がブラックアウトする、バックカメラが映らない、警告灯が誤点灯する。
- 特徴: 近年のモデルは多数の電子制御機能を搭載しているため、ソフトウェアやセンサー、インフォテインメントに関する不具合が生じる可能性があります。ただし、発生頻度や原因は年式、モデル、ソフトウェアの状態によって異なります。購入時は警告表示の有無に加え、リコールやサービスキャンペーン、ソフトウェアアップデートの実施状況も確認しましょう。
- 水漏れ・オイル漏れ
- 症状: 冷却水の減少警告が出る、駐車場にオイルのシミができる。
- 注意点: 冷却水漏れを放置するとオーバーヒートにつながるおそれがあるため、警告表示や冷却水量の低下が見られた場合は、速やかに点検を受ける必要があります。原因はホース、接続部、リザーバータンク、シール類などさまざまで、実車を診断しなければ特定できません。
2. 維持費と修理コストの考え方
Annual Running Cost (Example)
RANGE ROVERの年間維持費試算例
維持費は、グレード、パワートレイン、年間走行距離、燃料価格、充電環境、保険条件、駐車場代、整備内容によって大きく変わります。以下は年間走行距離1万kmを想定した項目例であり、すべてのオーナーに当てはまる金額ではありません。
年間数十万円から100万円を超える場合まで、条件による差が大きいため、上記の項目を目安にご自身の使用条件で試算することをおすすめします。
保証対象外の故障では、部品代と工賃が高額になる可能性があります。具体的な修理費は故障箇所や交換範囲によって異なるため、正規リテイラーまたは専門店で個別に見積もりを確認してください。
車両本体価格だけでなく、維持費についても事前に把握しておくことが大切です。国産SUVとは条件が異なる項目もあるため、候補車両のグレードや使用条件に当てはめて試算しておきましょう。
- 燃料・電気代: 現行RANGE ROVERには、ディーゼル、V8ガソリン、プラグインハイブリッドなど複数のパワートレインがあり、燃料の種類や実際のエネルギーコストはグレードと使用環境によって異なります。ガソリン車だけを基準に「全車ハイオク」「街乗り5〜7km/L」と一括りにすることはできません。購入候補のグレードについて、公式諸元のWLTCモード燃費やEV走行換算距離を確認したうえで、年間走行距離から費用を試算してください。現行PHEVには、公式サイトでEV走行換算距離111kmと案内されている仕様があります。ただし、実際の走行距離や燃費は、気温、渋滞、充電状況、エアコン使用、運転方法などで変動します。
- 税金: 自動車税種別割は排気量、自動車重量税は車両重量や登録時期などを基準に決まります。RANGE ROVERはグレードによって排気量やパワートレインが異なり、PHEVなどでは適用される制度も変わる可能性があります。購入前に候補車両の初度登録年月、排気量、車両重量を基に確認しましょう。また、自動車重量税は毎年支払う税金ではなく、原則として新規登録時や車検時にまとめて支払うものです。年間維持費として計算する場合は、車検周期に応じた年割り換算であることに留意してください。
- 部品代と工賃: 純正部品や正規リテイラーでの工賃は、国産車と比較して高めに設定されている場合があります。具体的な金額は車種やグレード、依頼内容によって異なるため、見積もりで確認しましょう。
3. ボディサイズと駐車場・道路事情の注意点
RANGE ROVERは、標準ホイールベースとロングホイールベースでボディサイズが異なり、いずれも国産SUVと比べて全幅が大きいモデルです。立体駐車場や狭い道路では、事前確認が特に重要になります。
| 確認項目 | 確認のポイント |
| 全幅 | 車両の全幅と駐車場の許容幅を確認 |
| 全長 | 標準ホイールベースとロングホイールベースで異なる |
| 全高 | 車高モードによる変化も含めて確認 |
| 車両重量 | グレードや装備により異なる |
| タイヤ外幅 | 駐車装置によっては全幅とは別に制限あり |
| 最低地上高 | パレットや傾斜との干渉を確認 |
RANGE ROVERのボディサイズは仕様によって異なるため、購入候補車の車検証または公式諸元を確認し、自宅駐車場だけでなく、日常的に利用する機械式駐車場の管理会社にも適合可否を確認する必要があります。
特に古いコインパーキングや都内の狭い路地では、通行や駐車に注意が必要な場面があります。行動範囲を広げたい方は、事前に普段利用するルートや駐車場での適合可否を確認しておくと安心です。
一方、現行RANGE ROVERにはオールホイールステアリングが採用され、公式サイトでは最小回転半径5.3mと案内されています。3DサラウンドカメラやClearSightグラウンドビューなども用意されており、ボディサイズの割に取り回しを補助する装備は充実しています。ただし、駐車枠そのものが狭い場合や、ドアを開ける余裕がない場所では、支援装備だけで問題を解消することはできません。
4. リセールバリューについて
中古車価格は、年式、走行距離、グレード、ボディカラー、装備、整備履歴、市場の需給によって変動します。ランドクルーザーやレクサスLXなどと比べて値下がりが大きく見える個体もありますが、すべてのRANGE ROVERに同じ傾向が当てはまるとは限りません。売却価格を重視する場合は、購入時点の中古車相場だけでなく、複数の買取店や残価設定プランも比較してください。
メーカー保証が終了する時期を境に、保証対象外の修理費を懸念して売却を検討する人もいます。ランドローバーの日本向け新車保証は、新車登録日から3年間または10万kmのいずれか早い時点までです。メーカー保証終了後に備える場合は、新車延長保証の加入条件を正規リテイラーに確認してください。
5. 販売・サービス拠点と部品待ちへの注意
輸入車では、必要な部品が国内在庫にない場合、本国からの取り寄せとなり、修理期間が長くなる可能性があります。ただし、すべての修理に数週間から1か月以上かかるわけではありません。部品の在庫、故障内容、作業予約の混雑状況などによって期間は変わります。
また、正規リテイラーやサービス拠点までの距離は地域によって異なります。購入前にランドローバー公式のリテイラー検索を利用し、自宅から利用できる販売店、サービス工場、ロードサイドアシスタンスの内容を確認してください。
RANGE ROVERが支持される理由|3つの魅力

サイズや維持費といった注意点がある一方で、RANGE ROVERが世界中で支持され続けているのには理由があります。ここでは、多くのオーナーが評価するポイントを3つ紹介します。
1. 上質な乗り心地と静粛性
RANGE ROVERの大きな特徴の一つが、オンロード・オフロードを問わない乗り心地の良さです。
電子制御エアサスペンションが路面状況に応じて車体の動きを制御し、滑らかな乗り心地を実現します。乗り心地や静粛性はRANGE ROVERを代表する魅力ですが、感じ方はタイヤサイズやグレード、路面状況によっても異なります。購入前には、市街地、高速道路、荒れた路面など、普段の使用環境に近い条件で試乗することをおすすめします。
2. 洗練されたデザインとブランドの認知度
RANGE ROVERのデザインは、装飾を抑えたシンプルでモダンな外観が特徴です。上質なレザーやウッドを使用したインテリアも、多くのオーナーから評価されています。
RANGE ROVERは、長い歴史を持つ高級SUVとして高いブランド認知度があります。シンプルな外観デザインや上質な内装に魅力を感じる人にとって、所有満足度の高いモデルになり得ます。
3. 悪路走破を支える先進装備
優雅な見た目とは裏腹に、テレインレスポンスや電子制御エアサスペンションなど、本格的な悪路走行を支援する機能を備えています。渡河可能水深などの数値は、モデル、グレード、仕様、走行条件によって異なるため、実際に走行する際は取扱説明書の条件を確認してください。
オーナーレビューに見るRANGE ROVERの実像
ここまでの注意点と魅力を、実際のオーナーの評価で補足しておきましょう。carview!(カービュー)のレンジローバー ユーザーレビューには歴代モデルを通じて130件を超える評価が寄せられ、総合評価は5点満点中4点台前半。項目別では乗り心地とデザインがいずれも4点台後半と際立って高く、エアサスペンションによる上質な乗り心地、ラウンジのような静粛性、内外装の質感を評価する声が中心です(参考:carview! レンジローバー ユーザーレビュー)。
一方で、燃費の項目評価は2点台にとどまり、市街地走行での燃料消費の大きさを指摘する声が複数見られます。税金や保険を含む維持費の負担、駐車場所を選ぶボディサイズ、電子制御系の警告灯や不具合に触れるレビューもあり、本記事で整理した注意点は実際のオーナー評価にも表れています。魅力と負担の両面を踏まえて、次の診断で自分との相性を確認してみてください。
【診断】RANGE ROVERは自分に合っている?

RANGE ROVERの購入後に満足度が高い人と、後悔しやすい人には傾向の違いがあります。以下のチェックリストで、自分の状況を確認してみましょう。
| チェック項目 | 向いている人(〇) | 向いていない人(×) |
| 金銭感覚 | 保証対象外の修理に備え、まとまった予備費を確保できる | 突発的な出費にストレスを感じる |
| 車への価値観 | 移動時間を「豊かな体験」にしたい | 車は単なる「移動手段・道具」だ |
| 性格 | 不具合が発生した際に、販売店や整備工場と相談しながら対応できる | 異音や不具合が一つでも許せない完璧主義 |
| 環境 | 自宅に幅広対応の駐車場があり、セカンドカーもある | 狭い駐車場しかなく、この1台ですべて賄う |
| 整備 | ディーラーや専門店との付き合いを楽しめる | 車検以外はメンテナンスフリーで乗りたい |
診断結果
- 多くの項目に当てはまる場合: 維持費やサイズを理解したうえで、前向きに検討できる可能性があります。ただし、最終判断の前に試乗、駐車確認、保険料の見積もり、保証内容の確認を行いましょう。
- いくつか不安がある場合: 認定中古車や保証の手厚い販売店を選ぶことで、リスクを軽減できる可能性があります。
- 半分以上当てはまらない場合: 維持費の予測しやすさや販売・整備拠点の利便性を重視する場合は、他メーカーの高級SUVも比較候補になります。
後悔しないための購入・維持の鉄則

RANGE ROVER選びで後悔しないために、購入前後に確認しておきたいポイントを紹介します。
1. 「認定中古車」または「専門店」で購入する
中古車では、車両価格の安さだけで判断せず、整備履歴、保証内容、消耗品の状態、リコール対応状況などを総合的に確認する必要があります。
- 正規リテイラーの認定中古車: 所定の点検・品質基準や保証が設けられています。保証期間、保証範囲、消耗品の扱いは車両ごとに確認してください。
- ランドローバーを多く扱う専門店: 店舗によって技術力、設備、保証、部品調達力が異なります。過去の整備実績、診断機の有無、保証範囲、納車整備の内容を確認してください。
2. 整備予備費を確保しておく
保証対象外の修理や高額な消耗品交換に備え、購入予算とは別に整備予備費を確保しておくと安心です。必要額は車両の年式、保証の有無、整備状態によって異なるため、購入前点検の結果や販売店の見積もりを基に決めましょう。目安として50万〜100万円程度を挙げる例もありますが、これは余裕を持たせた一例であり、必ず必要になる金額ではありません。
3. 試乗で「サイズ感」と「車庫入れ」を確認する
スペック上の数値だけでなく、実際に生活圏内で試乗し、よく行くスーパーの駐車場や自宅の車庫に入れてみてください。特に全幅の感覚とドアの開閉スペースは、日常の使い勝手に直結します。
4. 保証とロードサイドアシスタンスを確認する
ランドローバーの日本向け新車保証は、新車登録日から3年間または10万kmのいずれか早い時点までです。また、新車保証期間中はロードサイドアシスタンスが用意されています。中古車では、メーカー保証の残期間、延長保証、認定中古車保証、販売店独自保証の範囲を確認しましょう。保証対象外となる部品や消耗品、免責条件も契約前に確認することが重要です。
購入前に確認したいチェックリスト
- 記事が対象としているモデル、年式、グレードを確認する
- 自宅駐車場の幅、長さ、高さ、重量制限を実車で確認する
- 日常的に使う道路や駐車場で試乗する
- 候補車の排気量、車両重量、燃料の種類を確認する
- 年間走行距離を基に燃料費または充電費を試算する
- 任意保険と車両保険の見積もりを取得する
- 新車保証、延長保証、認定中古車保証の範囲を確認する
- 整備記録簿、リコール対応、ソフトウェア更新履歴を確認する
- タイヤ、ブレーキ、バッテリーなど高額消耗品の残量を確認する
- 最寄りの正規リテイラーや対応可能な整備工場を確認する
- 購入費とは別に整備予備費を確保する
まとめ

RANGE ROVERは、上質な内装、快適な乗り心地、本格的な走破性能を兼ね備えた高級SUVです。一方で、大きなボディ、高額になりやすい消耗品や修理費、販売・整備拠点までの距離など、購入前に確認すべき点もあります。
重要なのは、「壊れやすい」「維持費がやばい」といった評判だけで判断することではありません。候補車の年式、グレード、整備履歴、保証内容、駐車環境、年間走行距離を具体的に確認し、自分の使用条件で維持できるかを判断することが大切です。
新車や高年式車では保証を活用しやすく、中古車では購入前点検と整備履歴の確認が特に重要です。魅力と負担の両方を理解したうえで選べば、購入後の後悔を減らせます。
本記事は、RANGE ROVER日本公式サイト「モデル概要」「グレードとスペック」、ランドローバー日本公式サイト「保証とロードサイドアシスタンス」「正規リテイラー検索」、国土交通省・国税庁等の自動車関連税制情報を参照して作成しています。記事中の数値は、対象モデル・グレード・モデルイヤー・標準ホイールベースまたはロングホイールベースの別により異なる場合があります。購入前には、必ず候補車両の公式諸元や車検証で最新情報をご確認ください。
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