

GRカローラの購入を検討している方や、すでにオーナーの方にとって、2025年9月に発表された改良モデルの変更点は気になるポイントではないでしょうか。「今買うべきか、新モデルを待つべきか」「旧モデルとどれだけ違うのか」といった疑問を抱えている方も多いはずです。
実は、今回の改良は単なるマイナーチェンジではなく、ニュルブルクリンクでの過酷な走行を経て得られた学びを反映した、本格的な性能向上が図られています。ボディ剛性の強化、吸気冷却性能の改善、JBLサウンドシステムの進化など、走りの質を高める改良が施されました。
本記事では、2025年改良モデルのGRカローラにおける具体的な変更点を、旧モデルとの比較を交えながら詳しく解説します。性能面での進化ポイント、価格情報、既存オーナー向けのアップグレードプログラムまで、購入判断に必要な情報を網羅しています。最適な選択をするためにも、ぜひ最後までご覧ください。
この記事のポイント
- GRカローラ2025年モデルの3つの主要変更点と進化の方向性
- ボディ剛性強化と吸気冷却の具体的な性能向上内容
- 既存オーナー向けアップグレードプログラムの提供時期と内容
GRカローラ2025年改良モデルの変更点詳細
2025年9月18日に発表されたGRカローラの改良モデルは、TOYOTA GAZOO Racingが「もっといいクルマづくり」を追求し続けた結果として生まれました。今回の改良は、スーパー耐久シリーズ参戦で得た知見を市販車にフィードバックしたもので、街乗りからサーキットまで幅広いシーンでの性能向上を実現しています。
特に注目すべきは、ニュルブルクリンクのような過酷な環境下でもクルマとドライバーの一体感を高めるための改良が施されている点です。国内サーキットでは経験できない強烈な上下左右のGに耐えられる性能を追求した結果、ボディ骨格から吸気システムまで、基本性能が大幅に向上しました。
構造用接着剤の塗布量を13.9m延長
- 塗布量を18.8mから32.7mへ、約74%増加させた大規模な強化
- フロントボディ、フロア、リヤホイールハウス付近を中心に配置
- 質量増加を最小限に抑えながら高剛性ボディを実現

国内サーキットに比べて強烈な上下左右Gが発生する海外サーキットでも安定した走行を実現するため、フロントボディ、フロア、リヤホイールハウス付近を中心に、構造用接着剤の塗布量を従来のRZグレード比で+13.9mとなる32.7mに延長しました。
構造用接着剤は、溶接とは異なるアプローチでボディ剛性を高める技術です。点で結合する溶接に対し、接着剤は面で結合するため、より広い範囲で力を分散できます。今回の改良では、この特性を最大限に活かした設計が施されました。
フロントボディ、フロア、リヤホイールハウス付近を中心に構造用接着剤を配置し、従来のRZグレードでは18.8mだった塗布量を32.7mに延長しました。これは約74%もの増加となり、質量増加を最小限に抑えながら、より高剛性なボディに仕上げられています。
強化したボディ骨格により、街乗りからサーキットユースまで、あらゆる場面でクルマとドライバーとの一体感を高めます。
クールエアダクト(2次吸気ダクト)の追加
- フロントグリルから直接外気を取り込む新設計
- エンジン高回転時に作動する2次吸気口に装着
- 吸気温度の大幅な低減により出力低下を防止


長時間の全開走行でエンジンルーム内温度が上昇した場合でも、安定して高いエンジン出力を維持させるため、エンジンが高回転時に作動する2次吸気口(エアクリーナー下方に配置)にクールエアダクトを追加しました。
クールエアダクトは、フロントグリルから直接外気を取り込むため、吸気空気温度を大幅に下げる効果をもたらします。高負荷連続走行などの高温環境下でも出力を安定させ、G16E-GTSエンジン本来のポテンシャルを十分に発揮させることが可能です。
エンジンは吸入する空気の温度が低いほど、高い出力を発揮できます。しかし、長時間の高負荷走行ではエンジンルーム内の温度が上昇し、吸気温度も上がってしまうため、エンジン出力が低下する現象が発生していました。
今回追加されたクールエアダクトは、エンジンが高回転時に作動する2次吸気口(エアクリーナー下方に配置)に装着されており、フロントグリルから直接外気を取り込む構造です。エンジンルーム内で温まった空気ではなく、冷たい外気を直接エンジンに供給できます。
この設計により、エンジンが最も外気を必要とする高回転域で、効率的に冷たい空気を供給できるようになりました。
JBLプレミアムサウンドシステムにサブウーハーを追加し8→9スピーカーに
- ラゲージにサブウーハーを新設し、低音域を強化
- アクティブノイズコントロール(ANC)を最適化し、不快な音を低減
- アクティブサウンドコントロール(ASC)を新たに装備

普段づかいの車内環境をより快適にするとともに、街中の運転でもエモーショナルなモータースポーツサウンドを楽しめるように、JBLプレミアムサウンドシステム(メーカーオプション)の機能を充実させました。
ラゲージに新たに搭載したサブウーハーによって、オーディオサウンドはよりクリアで迫力のある音響を実現しています。従来から装備していたアクティブノイズコントロール(ANC)のチューニングも最適化し、エンジンなどの不快なこもり音を低減します。
また、JBLプレミアムサウンドシステム装着車には新たにアクティブサウンドコントロール(ASC)を装備しました。アクセルやシフト操作による車両の加減速や駆動力の変化に応じたスポーツサウンドをスピーカーから鳴動させることで、ドライバーは直感的に車両の状態を把握できます。
さらにアクセルオフ時にはモータースポーツサウンドの代表のひとつであるバブリング音(ターボラグを低減するため、排気の工程で爆発を起こさせるアンチラグ制御が作動しているときに発生する排気音)を発生させます。まるでレーシングカーを運転しているかのようなサウンド体験を、普段の運転で安全に味わうこともできます。
ASCは走行モードに合わせて3パターンのサウンドを設定しており、3段階の音量設定のほか、「OFF」も選択できます。なお、工場出荷時はOFF設定となっています。
供給体制の見直しでより多くの顧客に
- 2022年発売時の抽選販売から通常販売へ移行
- より多くの顧客に届けられるよう生産体制を強化
- 2025年9月18日から注文受付開始、11月3日発売予定

2022年の発売時には抽選販売とするなど、これまでGRカローラはすべての顧客に届けられない状況が続いていましたが、進化し続けるGRカローラの走りの味を、より多くの顧客に届けられるように供給体制を見直しました。
注文受付は2025年9月18日から全国のトヨタ車両販売店で開始され、発売日は11月3日に設定されています。
価格・発売時期と既存オーナー向けアップグレード情報

性能面での改良内容を理解したところで、次に気になるのが価格や発売時期、そして既存のGRカローラオーナーへの対応です。ここでは、購入判断に直結する実務的な情報を詳しく解説します。
2025年モデルの価格とグレード
- RZ 6MT:5,680,000円、RZ GR-DAT(8AT):5,980,000円
- JBLプレミアムサウンドシステムはメーカーオプション
グレード | トランスミッション | 駆動方式 | 価格(税込) |
---|---|---|---|
RZ | 6MT | 4WD | 5,680,000円 |
RZ | GR-DAT(8AT) | 4WD | 5,980,000円 |
JBLプレミアムサウンドシステムは、ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plusとセットでメーカーオプションとして設定されています。
注文受付・発売スケジュール
- 注文受付開始:2025年9月18日
- 発売日:2025年11月3日
- 全国のトヨタ車両販売店で取り扱い
2025年改良モデルのGRカローラは、2025年9月18日から全国のトヨタ車両販売店で注文受付を開始し、11月3日に発売されます。供給体制が見直されたことで、これまでのような抽選販売ではなく、通常の販売形態で購入できるようになりました。
既存オーナー向けアップグレードプログラム詳細
- 2023年発売モデルのオーナーが対象
- エンジン最大トルクが370Nmから400Nmへ30Nm向上
- GR-FOURの駆動力配分制御も変更
すでにGRカローラを所有し、ご愛顧いただいている顧客に向けて、ソフトウェアを含めたアップグレードプログラムを提供する予定です。このプログラムにより、既存のオーナーも新型と同様の性能向上を体験できます。
アップグレードプログラムの概要
項目 | 内容 | 効果 |
---|---|---|
対象車両 | 2023年発売モデル | 2024年発表、25年日本発売の進化型と同等に |
エンジン性能 | 最大トルク370Nm→400Nm(30Nm向上) | 加速性能の向上 |
GR-FOUR制御 | "REAR"モード(前30:後70)→"GRAVEL"モード(前50:後50)に変更 | 悪路走破性の向上 |
TRACKモード | 駆動力配分が前50:後50から前60~30:後40~70の可変制御に | サーキット性能の向上 |
提供時期 | 2026年春予定 | 詳細は準備でき次第案内 |
アップグレードプログラムの対象となるのは、2023年発売モデルです。2024年発表、25年日本発売の進化型GRカローラと同様に、エンジン最大トルクが30Nm増の370Nm→400Nmに向上するほか、GR-FOURの制御も変更されます。
前後輪の駆動力配分が前30:後70の"REAR"モードが前50:後50の"GRAVEL"に変わり、TRACKモードの駆動力配分は前50:後50から前60~30:後40~70の可変制御となります。提供時期は2026年春を予定しており、価格を含む詳細は準備ができ次第、案内されます。
まとめ
2025年改良モデルのGRカローラは、以下のような特徴を持つ、本格的な性能向上を実現した一台です。
- ボディ剛性の大幅強化:構造用接着剤の塗布量を13.9m延長し、クルマとドライバーの一体感を向上。街乗りからサーキットまで、あらゆるシーンで意のままに操れる走りを実現
- クールエアダクトの追加:高負荷走行時でもエンジン出力を安定して発揮できる吸気冷却システムを新設。G16E-GTSエンジンの真のポテンシャルを引き出せる
- JBLサウンドシステムの進化:9スピーカー化とASC機能の追加により、オーディオ品質とモータースポーツサウンドの両方を高次元で実現
- 価格設定:RZ 6MT 5,680,000円、RZ GR-DAT 5,980,000円
- 供給体制の改善:抽選販売から通常販売へ移行し、より多くの顧客に届けられる体制を構築
- 既存オーナーへの配慮:2023年モデルオーナー向けアップグレードプログラムを2026年春に提供予定
今回の改良は、単なるマイナーチェンジではなく、ニュルブルクリンクなど過酷な環境での走行経験を活かした本格的な進化です。「もっといいクルマづくり」を追求するTOYOTA GAZOO Racingの姿勢が、随所に表れています。
2023年発売オーナーの方は、2026年春のアップグレードプログラムの詳細発表を待つことができます。TOYOTA GAZOO Racingは今後もGRカローラを多様なドライバーとともに継続して進化させていく方針です。























